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器にこだわるお店や陶芸が趣味のシェフ、窯元なのに料理が趣味といったお店や「陶芸人」を紹介する新コーナー、「器と気になるお店」。その第1回目は、有名フランス人シェフ、サントス・アントワーヌ氏。氏のケーキ作りやお店についてのお話はインターネットでいろいろと紹介されている。今回は、ご夫婦でいま一番凝っているという陶芸にスポットを当てて話を伺った。



サントス・アントワーヌ氏は、フランスでは数々のコンテストで優勝経験のあるシェフで、今やテレビや雑誌に取り上げられ日本で最も有名なパティシエの一人と言っていいかもしれない。運営する菓子学校の名前を付けた店舗の「エコール・クリオロ」をインターネットで検索すると次々に情報が出てくる。見るだけでもわくわくするケーキやチョコレート、行列のできた店舗の写真、店舗のレポートなど、枚挙にいとまがない。その人気ぶりが伺える。ちなみに「クリオロ」はチョコレートの原料、カカオの品種で世界中で人気があるそうだ。店舗だけでなくインターネットでも商品の販売をしている。楽天では10分で700個が完売したという「幻のチーズケーキ」は看板商品。ぜひアクセスして欲しい。


また、お菓子作りの本の出版だけでなく、日本で活躍する外国人の一人として紹介されているインタビュー集では、日産自動車CEOのカルロス・ゴーン氏らとともに人生観や仕事ぶりが語られているという。 そんなサントス・アントワーヌ氏のいま一番の趣味が陶芸だ。幸運にもご自宅で話を伺うことができた。当社の陶芸用品をご注文いただき、その納品も兼ねて伺いたいと申し出たら快く承諾してくださった。


もともとは飴細工職人として、飴細工のバランスや形に通じる生け花の勉強のため来日した。陶芸を始めたのはまず奥様の岡田愛さん。陶芸体験教室に参加して陶芸の魅力に引かれた。その奥様の影響で始めたのがきっかけだ。何にでも興味を持ち、職人として才能もあるアントワーヌ氏は、すぐに花器や器も自分で作るようになった。


ご自宅に案内され、リビングで最初に目にしたのは沖縄のシーサーだった。大きさは高さ約60cmくらい。毛並みの渦巻き模様や色がなぜかバームクーヘンやチョコレートを想像させる。友人と行った沖縄旅行で友人がシーサーを気に入ったから、結婚祝いに製作しているという。アントワーヌ氏が今一番魂を込める作品だ。 自宅工房は2年前に新居を建てたときに作った。当社の電動ろくろRK-3Dが2台。そして横扉式の大型の電気窯、真空土練機、釉薬など一式が揃っている。プロの工房としても使える設備と広さだ。




さっそくご夫婦で実演していただいた。仕事が忙しく少ない休みの日にしか作陶できないにもかかわらず、お二人ともに菊練りから土殺しと見事にこなし、電動ロクロもかなり上手い。アントワーヌ氏は、どちらかと言えばオブジェ風の、それも安定感のある作品をよく作る。「飴細工と違って、焼き物は日数が経っても形が残るのが嬉しい」と流暢な日本語を話す。そんなご主人に対し奥様は「日本の陶芸はわざと曲げたりして形をつくるのに対してフランス人は計算してきれいな形をつくるんです」と。奥様は主に日常よく使うもの、ポットや急須、器などを作っている。特に急須は、片手で注ぐため取っ手の取り付けのバランスや重さ、厚さなどよく考えて作られていた。ケーキに使う器は磁器のイメージがあるが、奥様は陶器を違和感無くうまく使っている。奥様お気に入りのハロウィンのポットはまさにその一つだ。出身は関西。いつになるか分からないが将来は地元神戸にもお店を出したいという。


話しながらも真剣にろくろを引くアントワーヌ氏にお菓子作りと陶芸はどちらが大変ですかと質問した。「いい質問だね」と笑って、答えは言わなかった。


味は言うまでも無い。わくわくするような鮮やかな色や形はケーキを作るというよりも「アイデアを具現化し、デザインする」という表現がアントワーヌ氏のケーキには合う。伝統の技術を使い、アイデアを具現化する陶芸に通じる。舌で味わい、目で楽しめるケーキと、触れて見て味わう器。作陶をしながらケーキのアイデアを考え、ケーキを作りながら器のアイデアを思っているのかもしれない。アントワーヌ氏にとって陶芸がそんな存在であってほしい。

プロフィール

サントス・
アントワーヌ氏

1969年フランスのマルセイユ生まれ、1994年に来日する。以後「バイカル」(京都)、「ヴァローナ・ジャポン(株)」で技術指導、1999年に独立。 2000年菓子学校「エコール・クリオロ」を開校、2003年「エコール・クリオロ」を移転、店舗を併設。
サントス・アントワーヌ氏の詳細と
お店については下記ページをご参照ください。
http://www.ecolecriollo.com/

1Fが店舗、2Fが教室